床がびしょびしょの原因は?止水工事の現場
広報担当Mです。
今年の梅雨は長くて、よく雨が降りましたね。
また、台風シーズンでもないのに大雨の被害もあったりと、今まででは想像もつかないような気候に変わりつつあるように思います。
雨がたくさん降ると、普段はなんともなくても、建物の異常が発見される、ということがあります。
今回の現場レポートは床がびしょびしょになってしまう地下の漏水現場です。
雨漏りや水漏れというと「天井からぽたぽた」みたいなイメージが強いですが、上から降っているわけではないので、下からの漏水なんですね。この場合どんな理由で水が漏れているのでしょうか?
水漏れのようす
こちらは専門学校の地下の一室でもともとは倉庫のようになっていたところを、図書室として使用するために改装したそうです。ところが、床のカーペットがびしょびしょになるほど漏水するため、改装したものの全く使用できていなかったそうです。
カーペットにかなり大きくしみができています。
大雨がふると湿っているレベルではなく、ほんとうに水たまりのようになるそうです。
除湿機も2台設置してありましたが…。
漏水の原因を調査します
まず施工エリアを確保して養生します。施工する壁沿いに作業エリアを区切るために仮の木枠を取り付け養生用のビニールで覆いました。
次に内壁を下半分を撤去、工事で邪魔になる柱も部分的に撤去します。
躯体のコンクリート壁が見えるようになりました。
壁を外してみると、二重壁の中は完全にドライでした。
床のシミの原因となっている漏水は以下のような原因ではないかとにらんで、止水工事を行っていくことになりました。
壁と床との取り合い部分に隙間があり(図の赤いところ)、雨が多く降ると水が上がってきてこの隙間から水が入ってきてしまうのではないかという推測です。コンクリートは必ず打ち継ぎ部があり、そこから水が染み出てしまうことはよくあることのようです。
また、この地中の水が上がってくることを「地下湧水」といいますが、建物には通常地下に「湧水ピット」が設けられていてその水を逃がす仕組みになっています。
止水工事のようす
今回はこの隙間に止水材を注入して水を止めるという工事になります。
壁から取り合い部に斜めに止水材を注入するための穴をあけ、注入用プラグを差し込んで設置。
プラグを設置するためにドリルで穴を開けます。
注入用のプラグを設置しました。
ハイドログラウトAは水と反応する止水材ですので、最初に清水を注入します。
その後プラグへ注入機で止水材「ハイドログラウトA」を注入していきます。
「ハイドログラウトA」は湿気や水に反応して発泡し硬化する止水材で、コンクリートによるアルカリ劣化が少なく耐久性に優れています。また有害な特定化学物質、重金属類を一切含有せず無溶剤系で安全です。
発泡しています。このもこもこ出てきているものは、隙間に充填されて外にはみ出してきている止水材です。
はみ出た止水材とプラグの出っぱっているところを折って撤去し、上からモルタルで埋めて処理します。
この後、壁の入隅(壁と床の結合部分)をシール材で埋めました。
さらに側溝内に防水材を塗布して室内に水が入らないよう、二重壁内の側溝を流れて、適宜排水口から地下ピットへ水が流れるようにしました。
適切な防水処理が必要
実は、部屋の半分、床に漏水していなかった方は二重壁の中がびしょびしょで、側溝には水が溜まり、壁を支える枠も錆びたりしていました。また躯体にひびが入って漏水しているところもありました。こちらも症状は違いますが、止水、防水の適切な処置が必要でした。
壁のひび割れから水が染み出て、そこが白く固まっています。
2重壁内の側溝に水が溜まっており、また地下ピットへの穴は開いているものの排水管などは取り付けてありませんでした。
ひび割れ部の漏水は同様にハイドログラウト止水材を注入して止水していきます。
プラグを取り付け…
止水材を注入しました。
また側溝に水が溜まらないように、2重壁内で適切に水を処理する工事を行いました。
もともと設置してあった塩ビ管に…
別のところからの排水管を引っ張ってきてY字型に接続。地下ピットへ流れるようにします。
ドレンを設置して水を誘導します。道を作ってあげるイメージでしょうか?
誘導した水は排水管を通って地下ピットへと流れるようにします。
必要以上の場所を濡らさないようにすることが大切なんですね。二重壁内であっても、これだけ側溝に水が溜まる状態ですと、間違いなく部屋の中の湿気は多くなりカビの原因になってしまいます。
水が止まるまでが止水工事?
今回はきちんと止水できたかを確認するために、取り外し可能な内壁を作成して設置させていただきました。
取り外し可能な壁にすることで、今後、点検の際、または何かあったときにすぐに確認できるようになります。
今回のような地下の漏水工事は実は大変難しい工事になります。理由は外からの防水工事に頼ることができないことです。建物の外部は地中なので外からの防水施工はできないため、このような止水工事で水を止めるしかないのです。さらに止水工事を行うときには、実際にはコンクリートの中や地中に埋まっている部分を直接確認できないため、防水・止水の知識だけでなく、躯体工事、基礎工事の知識さらには建築構造全般の知識も必要となります。常識の範囲で予想して止水工事を行っても、新築時に何か問題があって、変則的な工事をしていた場合、その止水工事が正解とは限らないのです。
アクアでは多くの止水工事を行ってきており、様々なノウハウがありますが、やはり建物ごとにその構造は違うわけで、毎回苦労もありますが、きちんと水が止まるまで、お付き合いをさせていただきます。
アクアの止水工事の内容について詳しくはこちらをご覧ください。
→ アクアの止水工事
今回使用したハイドログラウトの止水材ですが、アクアはハイドログラウト研究会の会員で、代表の八幡は理事も仰せつかっています。
またアクアには正式な講習会を受講し認定を受けたハイドログラウト注入施工管理技術者も在籍しています。
これから来る台風シーズンを前に、気になることがあればアクアにご相談ください。
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